建設業法の許可等の歴史と時代背景(その4)

query_builder 2020/06/05
建設業許可
押忍。行政書士の菅 倫明です。神奈川県で行政書士をしています。 建設業法許可 の歴史と時代背景のその4を書かさせていただきます

ゼネコン汚職事件と入札制度


平成 5 年(1993)埼玉土曜会事件で、 金丸信元自民党副総裁の巨額脱税事件の押収資料から、大手ゼネコン各社から中央政界や地方政界に多額の賄賂が送られている実態が判明しました。

その後、 東京地検特捜部による捜査の結果、平成5年から平成6年にかけ、建設大臣(当時)、宮城県知事、茨城県知事、仙台市長が逮捕されるという事態に発展しました。

この結果、公共工事に関する特別委員会 中央建設業審議会建議の「公共工事に関する入札・契約制度の改革について」によって、一般競争入札の本格的採用されることになりました(明治 33 年の勅令 により指名競争が導入されて以来の改革でした)。

我が国においては、明治三三年の指名競争方式の創設から数えれば約九〇年、公共工事の入札・契約制度としては、指名競争方式を基本とされてきました。 指名競争方式それ自体は諸外国でも使われており、正しく使われれば効率的な制度であるとされています。

一般競争方式を軸とした抜本的な改革


指名競争方式が採用されていた背景として、その当時まで、先進諸外国に比べて、住宅・社会資本整備が遅れている我が国において、効率的に、良質のストックを形成するのに指名競争方式は貢献してきました。
しかし、このような一連の不祥事が明らかにされる中で、指名競争方式の根幹である、発注者は「公正で中立である」という前提に大きな不信が投げ掛けられました。

そして、これらの事件は、「信頼のできる業者を選ぶ」と同時に「不正が起きにくい」システムを構築するため、公共工事の入札・契約制度に関する従来の考え方の転機となりました。
すなわち、公共工事の入札・契約制度の改革の柱として一般競争方式を本格的に採用するときが来たのです。

この一般競争方式の採用自体は、従来の中央建設業審議会の答申においても「引き続き幅広い検討を重ねることが必要」としたいたところであるが、その検討を大幅に前倒しし、実行したものでした。

この改革は部分的な修正ではなく、抜本的な改革を目指したものでした。 入札・契約制度の改革は、単に指名競争方式を一般競争方式に変えれば済むというものではなく、システム全体の改革であり、その意味で歴史的な改革でした。

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